志賀直哉旧居と管理人さん /09日南・尾道クルーズ

商業所記念館の方のお話を参考に、山手のほうへ向かうことにしました。
いよいよ坂道の始まりです。
その坂のキツイこと!
休み休み登っていくと、「おのみち文学の館 志賀直哉旧居」の看板がありました。
そちらの方向へ歩いて行くと。。。
見事なモクレンの樹があります。もう少しで満開。
お店の前で、猫が何匹も気持ち良さそうにお昼寝中。

木蓮に見とれている私たちの後ろで、写真を撮っていたいた人と、もう一人、男性が話をしています。
実は、この喫茶店らしい建物の横が「志賀直哉旧居」。
我々が旧居に入っていくと、さっき立ち話していた男性が後ろからついてきて、入り口の戸を後ろ手に閉めながら、
「見ていかれますか?有料ですけど」と仰いました。
あ、この旧居の方だったのですね?!
もちろん見学していくつもりでしたけど、、
何だか、可笑しい。お客さん、ゲットー!みたいな雰囲気で(笑)
この三軒棟割長屋の一番奥に、志賀直哉が住んでいたそうです。
今は、手前が受付、中が展示スペースになっています。

受付を済ませ、中の展示を見ながら奥へ行くと。。。
この風景を見た途端に、娘も私も思わず「ああ!」とため息が漏れました。
志賀直哉が、ここで原稿を書いていた、その世界に、一瞬でタイムスリップしてしまったようです。

「景色はいい所だった。寝ころんでいていろいろな物が見えた。前の島に造船所がある。そこで朝からカーンカーンと金槌を響かせている。同じ島の左手の山の中腹に石切り場があって、松林の中で石切り人足が絶えず唄を歌いながら石を切り出している。その声は市のはるか高い所を通って直接彼のいる所に聞こえて来た。」(暗夜行路より)

展示スペースには、写真や原稿などがありましたが、
デッキが置いてあって、志賀直哉自身の朗読が聞けると書いてあります。
これは、やっぱり聞いてみたい。お願いすると、操作方法に手間取っておられる様子でしたが、結局娘の助け舟があって、朗読のCDが始まりました。
作家らしく、飾り気の無い、ぶっきらぼうなくらいの話しぶりを10分ばかり聞かせていただきました。
